ニュージーランドの本

児童文学を中心に、ニュージーランドの本(ときどきオーストラリアも)をご紹介します。

★Wildlife of Aotearoa(仮題『アオテアロアの生き物たち』)

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【基本情報】
書名:Wildlife of Aotearoa(仮題『アオテアロアの生き物たち』)
   *2020年ニュージーランド・ブックラヴァーズ賞児童書部門受賞作品
作者:ガヴィン・ビショップ(Gavin Bishop)文・絵
出版社:Penguin Random House (Puffin) New Zealand
出版年月:2019年10月
ISBN:9780143772514 サイズ:376×278ミリ(ハードバック) ページ数:64
読者対象:小学生から大人まで

【概要】
クジラからノミまで、ニュージーランドの生き物を幅広く紹介する絵図鑑。

 【内容と評価】
 2017年に、ニュージーランドを絵と解説で紹介する大型絵本 "Aotearoa: The New Zealand Story"(仮題『アオテアロア(ニュージーランド)のむかし・いま・みらい』)を出したガビン・ビショップが、またもや大作を発表。今作は、ニュージーランドの生き物の紹介だ。
 海の中、沿岸、湿地、森、街、家の中など、生息地別のテーマに沿って、多種多様な生き物たちが紹介されている。猛獣や大型の草食動物や有袋類のような世界的な人気者こそいないが、国鳥である飛べない鳥キーウィや、恐竜の子孫トゥアタラ(ムカシトカゲ)など、ユニークな種に出会える。日本や諸外国でも見かける生き物たちも、意外な特徴を持っていることを発見できて楽しい。ニュージーランドの生態系に外来種が与える影響や、環境破壊など、さまざまな問題についても考えさせられる。
 私が個人的に楽しかったのは、虫たちの紹介だ。ニュージーランドの鳥についてはこれまでも親しんできたが、虫について詳しく読むのは初めてだったので、興味深かった。本来、虫は苦手なので、写真ではなく手描きの絵であることがありがたかく、ひとつひとつじっくり読んで楽しませてもらった。
 テーマ別の項目とは別に、見開きページの端でウナギの旅が進行しており、その物語も興味深い。南太平洋からニュージーランドの川を伝って内陸へ、そして再び海へ向かう長い旅を生き抜いた2匹が、繁殖地であり墓場でもある南太平洋に帰り着く。ウナギの一生を追うことで、ほかの生き物たちにもそれぞれの物語があるのだと気づかされる。参考図書として本棚にしまっておくだけではもったいない1冊だ。
 生き物の名前はほぼすべて、英語とマオリ語という2つの公用語で記されている。
 ガヴィン・ビショップは、ニュージーランド児童文学界の重鎮。ここのところ毎年のように、スケールの大きなノンフィクション絵本を制作している。若々しくてさわやかで、フレンドリーな紳士である。

【作者紹介】
ガヴィン・ビショップ
 1946年、英国系の父とマオリの母のもと、ニュージーランド南島のインバーカーギルで生まれる。大学卒業後、美術教師として高校に勤務しながら、イラストレーター、絵本作家として活躍。勤続30年で退職し、フリーになる。ニュージーランドの児童文学賞で受賞歴多数。1984年に野間国際絵本原画コンクールで大賞を受賞し、来日してスピーチをおこなった。クライストチャーチ郊外在住。
 Aotearoa: The New Zealand Story(仮題『アオテアロア(ニュージーランド)のむかし・いま・みらい』)で、2018年NZ児童書及びヤングアダルト小説賞のマーガレット・マーヒー年間最優秀図書賞(大賞)とエルシー・ロック・ノンフィクション賞を受賞。Cook's Cook --The Cook Who Cooked for Captain Cook(仮題『クック船長のコックさん』)は2019年NZ児童書及びヤングアダルト小説賞〈ラッセル・クラーク挿絵賞〉候補作品

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