ニュージーランドの本

児童文学を中心に、ニュージーランドの本(ときどきオーストラリアも)をご紹介します。

★Aotearoa: The New Zealand Story(仮題『アオテアロア(ニュージーランド)のむかし・いま・みらい』)

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【基本情報】
書名:Aotearoa: The New Zealand Story
  (仮題『アオテアロア(ニュージーランド)のむかし・いま・みらい』)

*2018年ニュージーランド児童書及びヤングアダルト小説賞のマーガレット・マーヒー年間最優秀図書賞(大賞)、エルシー・ロック・ノンフィクション賞受賞作品

作者:ガヴィン・ビショップ(Gavin Bishop)文・絵
出版社:Penguin Random House (Puffin) New Zealand
出版年月:2017年10月
ISBN:9780143770350
サイズ:376×278ミリ(ハードバック)
ページ数:64
読者対象:小学生から大人まで

【概要】
 ニュージーランド(マオリ語ではアオテアロア)という国を、絵と解説で紹介する大型絵本。6500万年前の生物大量絶滅のあと、大地が再生したところから始まるニュージーランドの歴史が、見開きページで紹介されていく。20世紀半ば以降のことは項目別に紹介され、最後は未来に向けて、自然環境を守ろうというメッセージが示されている。

 【目次】→
ゆっくりと再生      アオテアロアへの航海  鳥たちの島
名前をつける       部族間の争い      ヨーロッパ人がやってきた
まだまだやってくる    銃という凶器      ワイタンギ条約
マオリ、土地をなくす   土地戦争後の大不況   交通の発達
第1次世界大戦      産業の発展と仕事    住宅
教育           第2次世界大戦     移民がふえる
食べもの         衣服          スポーツ
自然の魅力        有名になった場所    災害
有名になった人びと    文化の伝え手      マオリの声があがる
アオテアロアを守ろう 今も…  未来も…        いつまでも

【感想・評価】
 スケールの大きな知識の絵本。アオテアロア/ニュージーランドのことがよくわかる。人種差別や先住民の土地問題などの負の歴史や、現代社会が抱える問題からも目をそらさずに書いていることも高く評価できる。マオリとパケハ(ヨーロッパ人)両方の血を引くベテラン作家のビショップだからこそ書けたのだと思う。ニュージーランド全国の学校、図書館、そして各家庭に置かれるべき本といえる。

【著者紹介】
ガヴィン・ビショップ:1946年、英国系の父とマオリの母のもと、ニュージーランド南島のインバーカーギルで生まれる。大学卒業後、美術教師として高校に勤務しながら、イラストレーター、絵本作家として活躍。勤続30年で退職し、フリーになる。ニュージーランドの児童文学賞で受賞歴多数。1984年に野間国際絵本原画コンクールで大賞を受賞し、来日してスピーチをおこなった。クライストチャーチ郊外在住。
〈邦訳作品〉
★絵本
『こうさぎのうみ』(大和和紀訳/講談社)
『きつねおくさまのごけっこん』(グリム兄弟作/江國香織訳/講談社)
★読み物のイラスト
『ヘビとトカゲ きょうからともだち』
(ジョイ・カウリー作/もりうちすみこ訳/アリス館)