ニュージーランドの本

児童文学を中心に、ニュージーランドの本(ときどきオーストラリアも)をご紹介します。

★Oh Boy: A Storybook of Epic NZ Men (仮題『キーウィ・ボーイズ ニュージーランドの偉大な男たちの物語』)

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【基本情報】
Oh Boy: A Storybook of Epic NZ Men
     (仮題『キーウィ・ボーイズ ニュージーランドの偉大な男たちの物語』)
著者:スチュアート・リップショー(Stuart Lipshaw)
出版社:Penguin Random House (Puffin) New Zealand
出版年月:2018年10月
ISBN:9780143772545 サイズ:256×196ミリ(HB) ページ数:全210(本文196)
読者対象:小学生から大人まで
*試訳(部分訳)あります


【概要】
 ニュージーランドの偉大な男50人を紹介するノンフィクション。エベレストに初登頂したエドマンド・ヒラリーや映画監督のピーター・ジャクソンなど世界的な著名人から、羊の毛刈り職人や学生ボランティアのリーダーまで、さまざまな分野で活躍するすごい男たちの列伝。オールカラーイラストつき。

 【感想・評価】
 本書に先駆けて出版されたニュージーランドの女性たちの列伝 Go Girl に魅了された。さて、男の子バージョンはどうだろう? そんな気持ちで読み始めた。前書きはこんなふうに始まる。

 この本は、ニュージーランドの偉大な男ベスト50をならべたものではない。ヒーローになるためのガイドブックでもない。では、何が書いてあるのかって? やろうと思えばなんでもできる。その実例を伝える物語だ。

 まさにその通り。成し遂げたことの大きさを競うのではなく、好きなことややるべきことに向き合った結果、国際的に高く評価された男たちを、アルファベット順で紹介する本である。
 この中でもっとも著名な人物といえるのは、エベレストに初登頂したエドマンド・ヒラリーだろう。一夜にして世界的な有名人になったヒラリーだが、決しておごることなく、求められた役割を果たしながら、庶民感覚で生きた。得た名声は、慈善活動に使った。2008年にヒラリーが亡くなったとき、この人こそわれらのヒーローだと慕うニュージーランド人たちの様子をニュースで見て、感動したことをおぼえている。本書を読むと、全体を通して、根底にヒラリーの精神が流れているように思った。
 ほかにニュージーランドらしさを感じるのは、スポーツや野外活動愛好者の多さ、専門的な知識や技術を独学で身につけたり、身近なものを材料にして自分なりに物作りをしたりする人の多さなどだ。バンジージャンパー、ジェットボート発明者、マオリ初の国会議員、羊の毛刈り職人、ラグビー選手などの顔ぶれにも地域性を感じ、わくわくする。ニュージーランドの若い読者は、自分の国に誇りを感じるだろう。
 もちろん、本書の魅力は、ニュージーランドらしさだけではない。家庭環境に恵まれなくても、幼くして病におかされても、チャンスはあると教えてくれる。人と違う価値観を持っていることの大切さも学びとることができる。変人扱いされることが多々あろうとも、独自の価値観こそが人生を切りひらく鍵なのだ。紹介されている男たちはみな、自分らしい人生を送った(送っている)ことを、何よりも誇りに思っているのではないだろうか。
 家族との関わりにふれるのは最小限。とってつけたような美談を避けているところも、私はとても気に入っている。2回読んで、2回とも夢中になった。ほんとうにおもしろかった。(そう思うのは、私がニュージーランド贔屓だからなのだろうか。それはいまだにわからない) 

【構成】
 50人(48人と1組)の列伝が、ファーストネームのアルファベット順で並ぶ。各4ページ。1ページ目は職業、名前、生年と没年、出身地のデータ。2〜3ページ目が本文。4ページ目は似顔絵。

【一覧】(ファーストネームのアルファベット順)

1.AJ・ハケット(1958-)バンジージャンパー
2.アーピラナ・ンガタ(1874-1950)政治家
3.アーチボルド・バクスター(1881-1970)平和主義者
4.アーチボルド・マッキンドー(1900-1960)形成外科医
5.アーサー・リディアード(1917-2004)コーチ
6.ビリー・T・ジェイムズ(1948-1991)コメディアン
7.ブルース・マクラレン(1897-1970)カーレーサー
8.チャールズ・ダイヴァー(1910-1994)製菓職人
9.チャールズ・アパム(1908-1994)兵士
10.コリン・マッカホン(1919-1987)画家
11.コリン・マードック(1929-2008)発明家
12.デイヴィッド・ゲイプス(1942-)海賊放送者
13.デイヴィッド・ロンギ(1942-2005)首相
14.エドマンド・ヒラリー(1919-2008)登山家 ★試訳あり
15.アーネスト・ラザフォード(1871-1937)科学者
16.フランシス・フーパー(1963-)ファッションデザイナー
17.フランク・サージソン(1903-1982)作家
18.フランク・ワースリー(1872-1943)冒険家
19.フレッド・ホローズ(1929-1993)眼科医
20.ゴドフリー・ボウエン(1922-1994)毛刈り職人 ★試訳あり
21.イアン・アスフィールド(1940-2015)建築家
22.23.ジェメイン・クレメント(1974-)とブレット・マッケンジー(1976-)コメディアン
24.ジョン・ブリテン(1950-1995)発明家
25.ジョン・トリマー(1939-)バレエダンサー
26.ジョーナ・ロム(1975-2015)ラグビー選手
27.ケリー・タールトン(1937-1985)トレジャーハンター
28.クペ(10世紀ごろ)探検者
29.ランス・オサリヴァン(1973-)医師
30.リアム・マローン(1993-)アスリート
31.マイケル・ジョーンズ(1965-)ラグビー選手/コミュニティリーダー
32.マリー・ハルバーグ(1933-)アスリート
33.ニール・フィン(1958-)ミュージシャン
34.ニール・イエレミア(1970-)ダンサー
35.ピーター・ベック(1977-)ロケットマン
36.ピーター・ジャクソン(1961-)映画監督
37.ラルフ・ホテレ(1931-2013)画家
38.レイ・エイヴリー(1947-)科学者
39.リチャード・ピアス(1877-1953)飛行家・発明家
40.リチャード・テイラー(1960-)特撮ウィザード
41.リッチー・マコー(1980-)ラグビー選手
42.サム・ジョンソン(1989-)コミュニティリーダー ★試訳あり
43.スティーヴン・アダムズ(1993-)バスケットボール選手
44.スウィー・タン(1959-)外科医・研究科学者
45.タイカ・ワイティティ(1975-)映画監督
46.ウィリアム・ハミルトン(1899-1978)発明家
47.ウィリアム・ピカリング(1910-2004)ロケット科学者
48.ウィリアム・パイク(1985-)教育者・スピーカー
49.ウィリー・アピアタ(1972-)兵士
50.ウィティ・イヒマエラ(1944-)作家

 【作者】
スチュアート・リップショー
ペンギン・ランダムハウス社の編集者。作家になりたいという長年の夢を本書で叶えた。オークランド在住。

 【イラストレーター】
アント・サング(Ant Sang) ボブ・カー(Bob Kerr)
ダロン・パトロン(Daron Parton) エリオット・オドネル(Elliot O'Donnell)
フレイザー・ウィリアムソン(Fraser Williamson) ミカエル・ムリポラ(Michel Mulipola)
ニール・ボンド(Neil Bond) パトリック・マクドナルド(Patrick McDonald)
トビー・モリス(Toby Morri) ザック・ワイパラ(Zak Waipara)
※10名すべてニュージーランドの男性イラストレーター