ニュージーランドの本

児童文学を中心に、ニュージーランドの本(ときどきオーストラリアも)をご紹介します。

★A Dog Like That!(仮題『犬は こうでなくっちゃ』)

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【基本情報】
書名:A Dog Like That!(仮題『犬は こうでなくっちゃ』)
           *2011年ニュージーランド・ポスト児童図書賞絵本部門候補作品
           *2011年ラッセル・クラーク賞候補作品
作者:ジェニーヌ・クーパー(Janene Cooper)文
   イーヴィー・ケンプ(Evie Kemp)絵
出版元:Duck Creek Press
発行年: 2010年
ページ数: 32ページ
寸法:21.5 x 26 cm
ISBN:978-1877378416(ハードカバー)
対象年齢:5歳ぐらいから
 *試訳(全訳)あります

【概要】
 かしこい犬、きれいな犬、俊敏な犬……。いろいろいるけど、わたしの犬は、のんきでぐうたら。でも、いつもそばにいてくれる、最高の友だちなんだ。犬はこうでなくちゃね!
 愛犬への思いを、シンプルな言葉と色あざやかなコラージュで、ユーモアいっぱいに描いた絵本。


【感想・評価】※結末にふれています
 女の子が愛犬を紹介するおはなし。よその家の優秀な犬たちと、「わたしの犬」を交互に登場させ、そのまぬけぶりを語っている。子どもらしい率直な語り口が心地よく、ありのままを語っているからこそ感じられるユーモアが、とてもいい。「まぬけな犬だけど、自分にとっては最高の友だち」という結びには、愛がこもっている。
 イラストは、色あざやかなコラージュで、丁寧に作られている。各場面に1つずつある文字のコラージュもセンスよく配置され、シンプルな文章にぴったりのすっきりしたデザインだ。きりりとした優秀な犬たちと、とことんゆるい「わたしの犬」の対比は、みごと。笑顔がかわいいこのワンちゃんは、2011年ニュージーランド・ポスト児童図書賞のマスコット・キャラクターとして親しまれた。
 語り手の女の子は、小学校低学年か中学年ぐらいだろうか。日本でも、その年代の子どもたちが読んでくれたらうれしい。やさしい気持ちにしてくれる絵本であり、最近問題になっている、犬や猫の殺処分について考えるきっかけにもなると思う。

 

【作者紹介】

ジェニーヌ・クーパー(文)

 ニュージーランド北島北部在住の教育コンサルタント。1950年代後半生まれ。娘と愛犬の関係に着想を得て、絵本デビュー作となるこの話を書いた。 

イーヴィー・ケンプ(絵)

 イギリスで生まれ、10代の頃からニュージーランド在住。オークランド工科大学でグラフィックデザインを専攻。在学中に、この絵本の挿絵プロジェクトに応募し、採用された。2009年に卒業し、デザイナーおよびイラストレーターとして、さまざまな分野で活躍中。