ニュージーランドの本

児童文学を中心に、ニュージーランドの本(ときどきオーストラリアも)をご紹介します。

★Myths and Legends of Aotearoa(仮題『アオテアロアの神話と伝説』)

f:id:nzbook:20170509134632j:plain

【基本情報】
書名:Myths and Legends of Aotearoa(仮題『アオテアロアの神話と伝説』)
           ※「アオテアロア」はマオリ語でニュージーランドのこと
*2000年ニュージーランド・ポスト児童図書賞ノンフィクション部門候補作品
*2000年ストーリーラインズ優良図書

再話:アニー・レイ・テ・アケ・アケ (Annie Rae Te Ake Ake)
絵:ニュージーランドの中高生アーチストたち

出版社:Scholastic NZ
出版年:1999年
ページ数:64
ISBN: 9781869433888
読者対象:小学生以上

【概要】
 ニュージーランド先住民マオリ族の神話や伝説15編が収められている。英雄マウイの物語など、他のポリネシア民族と共通のものも含む。

 


【構成】
①目次 ②ニュージーランドの地図 ③前書き ④本文15編 ⑤この本の挿絵について
⑥作者紹介 ⑦本書で使われたマオリ語集

【タイトル一覧】
1.天地創造の伝説
2.ウエヌクと霧の乙女
3.マウイの巨大な魚
4.ロナと月 
5.ヒネモアとツタネカイの伝説
6.ラタとトタラの木
7.マウアオの伝説
8.サンゴ礁のパニア
9.ワイカレモアナ湖の伝説
10.マウイと火の指
11.ハツパツと鳥女
12.ピロンギア山の孤独な妖精
13.マウイと太陽
14.おばあさんと忠犬
15.山たちの戦い

【あらすじ(7編を抜粋)】
1.天地創造の伝説
 むかしむかし、この世に光はなかった。天の父ランギヌイと大地の母パパツアヌクがしっかりと抱き合い、世界を闇にしていたのだ。ふたりの間に生まれた息子たちは、狭い暗闇に閉じ込められていることに嫌気がさして、両親を引き離そうと決めた。とてつもない力を要する仕事だったが、息子のひとりでのちに森の神となるタネマフタが、やってのけた。タネマフタに押されて、ランギヌイは上へ上へと離れていった。こうして、光あふれる広い世界が誕生した。

2.ウエヌクと霧の乙女
 若者ウエヌクは、美しい霧の精ヒネプコヘランギと恋に落ち、結婚した。しかし一緒に過ごすのは夜だけで、朝になるとヒネプコヘランギは空へとあがっていってしまう。ある日ウエヌクは、家のまわりをござで覆い、朝日がさしこまないようにした。日が高くなってから目をさましたヒネプコヘランギは取り乱し、そのまま空へ舞いあがって2度と戻ってこなかった。その後、ウエヌクを気の毒に思った天の父ランギヌイは、ヒネプコヘランギを虹に変えた。

4.ロナと月
 ロナは、夫と子どもと幸せに暮らしていたが、ある晩、ひょうたんに飲み水が入っていないことに腹を立てた夫に怒鳴りつけられ、月明かりの中、水をくみに小川に向かった。途中、月が雲に隠れてあたりが真っ暗になったせいで、木の根につまずいて転倒。向かっ腹を立てたロナは、再び顔を出した月に向かってひどい悪態をついた。すると、それを聞きつけた月がおりてきて、ロナを空へとさらっていった。
 翌朝、夫と子どもたちがロナをさがしに出かけた。小川に近づくと、空の上から、「わたしはここよ!」と声がした。ロナは月の中にいた。
 ロナは今でも月の中にいる。さらわれまいとしてつかんだ森の木を手にしたまま。

5.ヒネモアとツタネカイの伝説
 ヒネモアは、ロトルア湖のほとりに住むマオリの首長の娘だ。年頃になると、湖に浮かぶ島の若き首長ツタネカイと恋に落ちた。しかし父は、別の男を結婚相手に選んでいた。ヒネモアは、カヌーで島に渡ろうと、夜中に抜け出した。ところが、カヌーはすべて、高台に引き上げられていた。途方に暮れるヒネモアの耳に、ツタネカイが奏でる笛の音が聞こえた。ツタネカイが待っていてくれることに勇気づけられ、ヒネモアは、島へと泳ぎだした。水中の怪物タニファをかわし、冷たい湖を泳ぎ切ってようやくたどり着くと、すでにツタネカイはあきらめて帰ってしまっていた。ヒネモアが、そばにあった温泉で体を温めていると、ツタネカイの召使いが湖の水をくみにやってきた。暗闇の中、ヒネモアは、召使いのひょうたんをつかんで思い切り投げつけた。召使いは恐れをなして逃げ帰った。同じことがもう1度繰り返されたあと、ツタネカイ本人がやってきた。ヒネモアは姿を現し、2人は結ばれた。翌日、愛する娘をさがして島に渡った父は、ヒネモアの無事を喜び、ツタネカイとの結婚を祝福した。よく知られたラブストーリー。北島にあるロトルア湖と、その真ん中に浮かぶモコイア島が舞台。モコイア島には、ヒネモアが体を温めた温泉「ヒネモア・プール」がある)

★マウイ:ポリネシア民族の間で伝わる半神半人。未熟児として生まれ、海に流されたが、海の女神に拾われて魔術などを仕込まれたあと、家族のもとに戻ったと言われている。たいへんないたずら者だが、多くの偉業を成し遂げた英雄でもある。本書にはマウイの物語が3編収められている。以下にまとめる。

3.マウイの巨大な魚
 末っ子のマウイは、兄さんたちに仲間はずれにされていた。兄さんたちは、不思議な力を持つマウイを恐れていたのだ。ある日、兄さんたちが釣りにいくと知ったマウイは、魔法の釣り針を用意して、カヌーの中に隠れた。翌朝早く、兄さんたちはカヌーを出した。沖まで出たころ、マウイは姿を現し、魔法の釣り針をつけた釣り糸を海にたらした。すると、途方もなく大きな魚がかかった。恐れをなしてふるえだす兄さんたちを尻目に、魔法の釣り針と呪文の力で、マウイは巨大な魚を釣りあげた。その巨大な魚は島になり、今では「ニュージーランドの北島」と呼ばれている。

10.マウイと火の指
 好奇心旺盛なマウイは、火の始まりを知りたくなり、村の火をすっかり消してしまった。母親に叱責されたが、地下の世界から「火の指」をもらってくるよう言いつけられ、喜んで出かけていった。地下の世界には、マフイカという老婆がいる。その10本の指から炎が出て、あたりを照らしていた。マウイは火の指を求め、1本もらった。しかし、帰る途中で小川に落として火が消えてしまったので、もう1本もらいにいった。マウイは、シュッと音を立てて火が消えることがおもしろくて、また小川に火を落とした。同じことを何度も繰り返し、ついにマフイカの火の指は、あと1本になった。
 マウイが最後の指を求めると、マフイカは怒り狂った。逃げ出すマウイに、マフイカは、最後の指を力いっぱい投げつけた。火は木々に燃え移り、森は火の海になった。マウイは鷹に姿を変えて空を飛び、風の神に助けを求めた。すると嵐が吹き、激しい雨が降りだした。マフイカは、5種類の木の中に火を閉じ込め、去っていった。その後マウイはこれらの木の枝を折り、火を起こした。火は今でもこれらの木の中にある。

13.マウイと太陽
 むかし、太陽は今よりずっと速く動いており、1日が短かすぎて人々は困っていた。そこでマウイは、太陽に直談判しようと決めた。たくましい男たちを集め、丈夫なロープを携えて、東へ向かって出発。何日も旅をして、太陽が飛び出す巨大な穴にたどりつくと、持ってきたロープでわなをしかけ、日の出を待った。
 あたりが次第に明るくなり、太陽が飛び出すと、マウイの号令で男たちがわなを引っぱっり、太陽をとらえた。動くスピードをゆるめてくれというマウイの要求に、太陽は抵抗するが、マウイが棍棒で激しく殴りつけると、ついに降参した。マウイは攻撃をやめ、わなもはずし、男たちと一緒に村に帰った。日は長くなり、村の人々は大喜びだ。
 しかし太陽は今でも、ゆっくり動くのを忘れることがある。そんな日の短い時期を私たちは冬と呼ぶ。太陽が、マウイの猛攻撃を思い出してペースを落とすと、季節は夏になる。

【作者紹介】
アニー・レイ・テ・アケ・アケ
1942年生まれのマオリ女性。ニュージーランド北島のタウランガ出身。小学校教師として長年勤務したあと、1992年に退職し、作家・語り部として活躍。

 

【参考ウェブページ】
「ニュージーランド政府観光局」公式ウェブサイトより
マウイの伝説について
http://www.newzealand.com/jp/feature/the-legend-of-new-zealand/
ロトルア湖について
http://www.newzealand.com/jp/feature/lake-rotorua/