ニュージーランドの本

児童文学を中心に、ニュージーランドの本(ときどきオーストラリアも)をご紹介します。

★Violet Mackerel シリーズ第6巻 Violet Mackerel's Pocket Protest(仮題『バイオレット・マケレルの小さな反対運動』)

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【基本情報】
書名:Violet Mackerel's Pocket Protest(Violet Mackerel シリーズ第6巻)
   仮題『バイオレット・マケレルの小さな反対運動』
作者:アナ・ブランフォード (Anna Branford) 文/サラ・デイヴィス (Sarah Davis) 絵

Walker Books Australia 2013年7月 ハードカバー ISBN: 978-1921977572
ページ数:112(本文102/挿し絵多数) サイズ:18.5×13.5×1.4 cm 
読者対象:小学校低学年から

【概要】
 公園のオークの木が伐採されると知り、仲良しのローズと一緒に反対運動を始めたバイオレット。小さなカードを作ったり、メッセージを書いてドングリのかさに忍ばせたり、ちょっとだけ署名を集めたり。2人のささやかな反対運動に、だれか気づいてくれるかな?

 【あらすじ】
 バイオレットとローズは、クローバー公園で遊ぶのが大好き。きらきら光るプレート(「エバの思い出に」と刻まれています)のついたベンチや、立派なオークの木がお気に入りです。ところが、公園の一部を駐車場に変えるため、オークの木が切り倒されることに!
 バイオレットの新しいパパ、ビンセントは、伐採を阻止するために、新聞社宛てに手紙を送るといいます。自分もなにかしたいと考えるバイオレットに、姉のニコラが、反対運動を勧めました。去年ニコラは、学校の美術室縮小に抗議して、プラカードを作ったり、スローガンを叫んだり、署名運動をしたりしたのです。バイオレットは、それはいい案だと思いました。
 翌日、バイオレットとローズは、反対運動にとりかかりました。大きなプラカードを作るのはむずかしかったので、スローガンを書いた小さなカードをたくさん作りました。2人には小さなもののほうが合っているのです。バイオレットは、新しい法則を思いつきました。★ちっちゃなものを見逃さない法則★です。小さなメッセージを見逃さない人は、小さなものを大切に思っているのです。
 バイオレットとローズは、クローバー公園にカードを持っていき、あちこちに置きました。オークの木のまわりで、ちょっとしたシュプレヒコールもあげました。見ていたのは、一緒に行ったビンセントだけでしたけれど。
 帰宅すると、床がびしょぬれになっていました。古い洗濯機がこわれて、水が漏れたのです。ママとビンセントは、厳しい家計をやりくりして格安ハネムーンを計画していたのですが、新しい洗濯機を買うために、あきらめることにしました。それを知って悲しくなったバイオレットは、「ハネムーンに行く権利」とカードに書いて、冷蔵庫にはりました。その夜、雨が降り、公園に置いたカードは、ぬれてしまいました。
 翌日、バイオレットとローズは、新しい案を思いつきました。ドングリを使った反対運動です。まず、伐採反対のメッセージを、小さな文字でノートに書きます。それを細長く切りとって、指に巻いて丸めます。次にドングリのかさをはずし、その中にメッセージを入れるのです。2人は根気よく作業して「ドングリメッセージ」をたくさん作り、それぞれの学校や町の中のさまざまな場所に置きました。ママが友だちのお店で売るために作ったニットの小物にも忍ばせました。ほかに、ささやかな署名運動もやりました。この木を切らないでほしいと紙に書き、2人の名前と、木にすむ生き物の名前(コウモリ、ミツバチ、スズメなど)を添えて、オークの木の幹にとりつけたのです。
 次の土曜日、なんと、署名が追加されていました。〈アルバート・トリベリ〉〈エバ・トリベリ〉と書いてあります。バイオレットの家族もみんなその紙に署名して、再び幹につけました。
 翌日曜日、バイオレットは、興奮したビンセントに朝早く起こされました。新聞に投書が載ったのです。ビンセントのだけではありません。多くの人が「ドングリメッセージ」を見つけて、伐採反対の手紙を寄せたため、特集記事になったのです! アルバート・トリベリのインタビューも載っていました。〈以下略〉

【感想・評価】※結末にふれています。
 小さなものが好きなバイオレットが、今回は、公園の木の伐採を阻止するという大きなことをやってのけた。友だちローズと2人で、できることをできる範囲でやった結果だ。これぞ草の根運動の見本といえるのではないだろうか。自分たちは小さなものが好きだから、それに合ったことをやろうという姿勢に、はっとさせられた。「小さなメッセージを見逃さない人」に、私もなりたいと思う。また、身近な人やものを大切にするバイオレットに、改めて魅力を感じた。
 ストーリー運びも自然で、さまざまな要素が上手に絡められている。シリーズ第6巻になっても冗漫さを感じさせず、飽きることなく楽しく読めた。このシリーズにこめた作者の思いは、第1巻から全くぶれていないと感じる。第4巻までで、家族ひとりひとりのことがある程度語られてきたが、今回は、5巻で友だちになったローズの登場シーンが多かった。登場人物が少しずつふえ、7巻以降どんな展開になっていくのか楽しみだ。

【他国版情報】
英国版:Sam Wilson 絵/Walker Books Ltd./978-1406349856
米国版:Elanna Allen 絵/Atheneum Books for Young Readers/978-1442494596


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