ニュージーランドの本

児童文学を中心に、ニュージーランドの本(ときどきオーストラリアも)をご紹介します。

★Kiwi Dads / Kiwi Mums (仮題『ニュージーランドのパパ』『ニュージーランドのママ』)

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【基本情報】
書名:"Kiwi Dads" / "Kiwi Mums"(仮題『ニュージーランドのパパ』『ニュージーランドのママ』)
ISBN: 978-1869439187/978-1869439194
出版年月:2009年7月/2010年3月

文:イヴォンヌ・モリソン(Yvonne Morrison)
絵:ロス・キナード(Ross Kinnaird)
出版社:Scholastic New Zealand
ページ数:24ページ
サイズ:18 x 18 cm
読者対象:小学校中学年から大人まで
 *2冊とも試訳(全訳)あります  

【概要】
 ニュージーランドの平均的なパパとママを、子どもの視点で明るく紹介。マンガチックな絵とともに、ユーモアと愛情のこもった絵本。


【構成】
 奇数ページと次の偶数ページが1セットになり、ニュージーランドの平均的なパパ/ママを1人ずつ紹介。得意なものや好きなものを紹介したあとに、突っ込みやオチをつけて笑わせる。最後の奇数ページでパパ/ママへの愛情を表現し、最終ページには、自分のパパ/ママの写真を貼る額縁が描かれている。

【感想・評価】
 子ども目線でパパとママの素顔を紹介する、明るく楽しい絵本。ニュージーランドらしさが満載で、それでいて、どのパパやママにも、日本のお父さんお母さんとの共通点が感じられることに、たまらない魅力を感じた。
 私はニュージーランドで複数の家庭にホームステイした経験があるのだが、そこで目にした家族像をこの2冊の中に再発見し、思わずクスッと笑ってしまった。"Kiwi Dads" に描かれているパパたちは、細かいことにこだわらない気さくな男。ラグビーやクリケットには熱狂し、ワイルドになる。庭のバーベキュー・グリルで肉を焼く姿も、典型的なニュージーランドの父親像だ。"Kiwi Mums" には、働く母親たちの忙しい毎日が、おもしろおかしく描かれている。子どもとの関わり方、ダイエットに励む姿、ひそかにゴシップ好きなところなど、日本の母親たちとそっくりな面も多く、うれしいやら、おかしいやら。
 ニュージーランドは、世界で最初に女性参政権を獲得(1893年)した国だけあって、女性がパワフルだ。一方、家事に協力的な男性は、メスに代わってオスが卵を温める鳥のキーウィにちなんで、キーウィ・ハズバンドと呼ばれる。両書を読むと、「やっぱりちょっとかかあ天下だよね」という印象で、ほほえましい。
 両書とも、親たちの外向きの顔と家庭内での顔の矛盾を、子どもの視点でついているところが、現実的であり、かつ、ほのぼのとしていて実に楽しい。国は違っても、家族のあり方や家庭で見せる素顔というのは同じなんだなと思える。
 英文には、ニュージーランド独特のスラングがたくさん使われている。残念ながら、ひとつひとつを日本語に反映するのは難しいけれど、堅苦しくない訳語を選び、軽快で楽しい訳文に仕上げたい。
 父や母への愛をしみじみと語る絵本もいいけれど、次々と突っ込みを入れながら、明るいノリで描かれたこの2冊も魅力たっぷり。マンガチックなイラストも、文にぴったりマッチしていて秀逸だ。幼い子どもたちよりも、小学中学年から大人の読者の心をつかむ絵本だと思う。

【作者紹介】
イヴォンヌ・モリソン(文)
 1972年オークランド生まれ。野生生物保護官、小学校教員等を経て作家になる。現在は夫とともにオーストラリアに住み、ニュージーランドとオーストラリア両国で活躍中。2004年発表の絵本 "Down in the Forest"(Jennifer Cooper 絵)は、翌年ラッセル・クラーク賞候補作品に選ばれた。ほかに "My Aussie Mum" (2009), "My Aussie Dad" (2010), "A Kiwi Jingle Bells"(2006), "Mind Your Gramma!"(2011)など絵本作品多数。

ロス・キナード(絵)
 1954年ニュージーランドのハミルトン生まれ。児童書のイラストレーターとして、2002年に "Why Do Dogs Sniff Bottoms?"(text by Dawn McMillan & Bert Signal)でデビュー。同作は、2003年ニュージーランド・ポスト児童図書賞で、絵本部門候補作および「子どもたちが選んだ本賞」受賞作に選ばれた。学校訪問に積極的で、2012年には、日本のインターナショナルスクールを複数訪れた。